加藤鷹:僕…ちょうど
30年(アダルト業界)で、監督は何年ですか?
村西監督:私は、もう
35年…かな…
加藤鷹:そうですよね。まぁ、お互いに(今は何年かに一回くらいのペースでお会いしていますけれども)現役でやっていた時、お互いのことをどう思ってたのかなっていう話を…監督は、加藤鷹という男が登場して(どう思われていましたか?)…
村西監督:私はあの<ダイヤモンド映像>やってた時に鷹さんにお仕事で会えたりしてね、
あぁ、こういう素晴らしい男優が出てきたんだな、これはとんでもない世界が生まれるぞ!と。(当時)スーパースターがいなかったから、男優で…
加藤鷹:まぁ、監督は、やっぱり(男優ではなく)監督でしたからね。
村西監督:スーパースターがいないと女優も輝かないんですよ。単なる「出すだけ」の男じゃなくて、「舐めるだけ」の男じゃなくて…
加藤鷹:ふふふふ(照れ笑)
村西監督:スターという存在が必要なんだ!それじゃないと業界が広がらないぞと…これだけアダルトビデオがたくさん、年間何百本、何千本も出ているのにね、男優のスターがいないって…だからね、そういう意味で非常に期待しましたし、我々のビジネスも
鷹さんの存在によって大きく広がるんじゃないかという可能性を感じましたよね。
加藤鷹:ほんとですか?
村西監督:だから今回の撮影、男優さんは誰?と聞いて「加藤鷹さん」って言われたら、「おう、いいね!」と。だから私はね、加藤鷹ちゃんとウチの女優(ダイヤモンド映像の専属女優)がヤル時にはサック(コンドーム)は使わせるなよと。
加藤鷹:あっはっははは(爆笑)
村西監督:多分ね、鷹さん
うちのビデオに出た時は一回もサック使ってないと思う。
加藤鷹:そうでしょうねぇ…(昔を思い出す)
村西監督:勃ちの問題もあってね、思い切り腰を振ってもらうに為にはね、コンドームなんていらないよ!と。
加藤鷹:あはははは(爆笑)
村西監督:全幅の信頼。
またね、女優たちも鷹さんと共演するの大好きだから。ウチの女房なんかもね、同郷の秋田県ってことで共演したい、って言っておりましたから。「お前ね、公私のところ分けろよ」と…
加藤鷹:それ本当ですか?今の??うわ~ありがたいぃ
村西監督:うん、そうですよ。代わり(加藤鷹の)がきかない。
加藤鷹:ありがとうございます!
まぁ、でも監督のところの女優さんたちは僕らにしてみると、
なかなか会えない。ダイヤモンド映像の社員で男優のターザン八木氏がいたり、日比野氏がいたり、沢木氏がいたりしましたから、僕らがダイヤモンドの女優さんと絡むことはほぼ、ない…。でもローザ(田中露央沙)とか藤小雪さんとか、卑弥呼とか、今考えると結構会ってるんですよね。
で、村西監督がすごいなと思ったところは、
外に出しても恥ずかしくない女優育ててるなという。ちらっと聞いてましたけど、とりあえずお茶くみをちゃんとできる(教育をしてる)。それ本当なんですか?
村西監督:あのね、どなたに対してもキチッとしたご挨拶出来なきゃいけないから、いつも事務所に常駐させて、「お客さんいらっしゃったらお茶を持っていくんだよ」「次はおしぼりだよ」「次コーヒーだよ」と、
常に女優見習いみたいな事をさせていましたね。
加藤鷹:(ダイヤモンド映像の女優さんと)共演した時に思ったのは、まぐわう時の作法もすごくキチンとしてて『いやぁ~さすが村西監督って、すごいことをちゃんと(教育しているんだな)』って…とっても大事なことを女の子に…
村西監督:そうですね。基本的なところですね。
加藤鷹:今の親が果たしてそのこと(日常的な礼儀)を娘にちゃんと教えているのかなぁ~と思うくらいだから…僕らは(当時)すごいやりやすかったですよ。
村西監督:ありがたいですね。
加藤鷹:他のところの女優さんよりダイヤモンド映像の女優さんと会うことは楽しかったし、とてもその…
礼儀の良い方ばかりでした。
村西監督:わがままを許さないからね。
加藤鷹:はい、嫌な思いをしたことがないですよ。
村西監督:わがままを許さないで、自分自身の節度というかね、身の程を知れと。そういうことを教育しましたから。外に行って悪評を得ることはほとんどなかったと思います。男優さんでも、例えば鷹さんでもね、相手の女優を見て『あ、こいつダメだな』と思われるようなことがあったら、人に言うじゃないですか?それは
回りまわって自分にとって損になるから。きちっとしていこうとね。そういうところは教えていたつもりですね。
加藤鷹:なるほど。撮影の時に女優がイマイチなのは、自分の力不足だと思っていたので、
『女優に文句言われているくらいじゃ、(自分は)まだまだ一流じゃねぇな』と自分に言い聞かせていましたので、女の子にあまり腹が立ったということはないですね。僕の場合は。
村西監督:私はねぇ、基本的に気を付けていたのね。現場の監督や他のスタッフもやりやすいようにね、(女優に)マネージャーを同行させるということはしませんでした。
加藤鷹:あ~(相槌)
村西監督:よくあるじゃないですか?マネージャーが3人も4人もくっついてきてね。監視しているようなのがいるでしょう?私はどこに行くにも一人で行かせました。
加藤鷹:うーん(相槌)
村西監督:テレビの仕事でも、ビデオの仕事でも、雑誌の取材の仕事でも、どこでも一人で行きなさいと。
一人でなんでもできるようにしないとだめだよと。
立派な社会人になれる能力もないのにAV女優になんかなれないよと。
加藤鷹:僕らって、現場の
“中”の人間じゃないですか?外側の人間じゃないから、ちょっと視点が違うんですよね?だから監督のファンの人たちは、監督のパフォーマンスやしゃべりが好きで、楽しくて観ていると思うんですけど、僕らは内側の人間だから、ダイヤモンド映像の女優さんと実際一緒に仕事をしてみると、監督のそういうパフォーマンスの凄さよりも、外に出しても恥ずかしくない女優をキチンと育てていることの凄さを感じて…
村西監督:ありがとうございます。
加藤鷹:やっぱり、
凄い人だなぁって。
同じ男として!
村西監督:女優がキチンとしていないと、私が笑われちゃうから。何の教育をしているんだと。特に男優さんなんかと共演した時にね、男優さんは色々な女優さんを知っているから言うじゃないですか?メディアには言わなくても巡り巡って良くない噂が伝わってきた時には良い感じはしないでよすね。結局
本人が損をすることになるんですから。
加藤鷹:監督が女優さんに言っていることって、例えばなんだろう…それは、実はうちのばあさんに俺が言われてたようなことなんですよね。
俺に作法を教えてくれたのは俺のばあさんで。例えば、玄関で靴がバラバラになっていたりすると「人の家に行った時は、靴くらい揃えて入れ!」って頭ぶん殴られていましたんで、そういう(当たり前な)礼儀を僕は女優さんにもすごい気にした人(自分の接し方含め女優さんの接し方も)なので、
「あっち」の作法も同じだと。普段できない人は、男を目の前にしても、やっぱり『あぁ、できないんだな~』って。
村西監督:僕もねぇ、すごくお袋に可愛がられて育ったから。
マザコンなんですね。そういう意味ではねぇ、女性をしかったり、きつく追い詰めることができないの。だから女性をいじめるようなものって、たとえ仕事であっても得意じゃない。
加藤鷹:うーん(相槌)
村西監督:そういうものがベースにあって、
「あの監督は私を裏切らない、私を騙さない」と。「必ず私のことをフォローしてくれる」という
信頼関係みたいなものが、女優さんとの間に生まれていったのかなと…。今言われたように、子どもの時代の経験はとっても重要ですよね。
加藤鷹:うんうん、なるほどね。